ステンレス様より頂きましたv
買い置き
「葉柱〜〜!!!」
洗面所から声がする。
窓がびりびり震える。
「おい、朝からそんな怒鳴るなよ…。」
こっちはお前より早めに起きて朝食の支度真っ最中だ。
目玉焼きを綺麗に半熟に仕上げるために早く戻りたい。
俺の家でも一番でかい洗面所の鏡の前で仁王立ちの蛭魔。
手にはぐちゃぐちゃに潰された…チューブだろうか?が、握られている。
「なんだよ、何かあるのか?」
そんなにすごい目で見られるようなヘマはしてないと思うが。
無言でその手に握られたチューブを差し出される。
受け取って見てみれば、俺の家にわざわざ置いてあった蛭魔愛用のヘアジェル。
透明でどろりとしたジェルは残りわずかどころか、ところどころ引っかかっている程度でもう出てはこないだろうところまで使い切られている。
「ああ、終わってたのか。…なに…まさか買い置きとか期待してる?」
えらそうにうなずくなよ…。
だだっ子のように手を出したままの蛭魔。
寝癖が少しはねて、それでもさらりと揺れる金の髪。
地毛の色までは知らないが、金髪になるまで色を抜いてどうしてそこまで艶があるのか不思議。
俺をにらむように少し首をかしげる。
あわせて揺れる細い髪。
いつもは立てているからわからないが、結構長い。
襟元の開いたシャツからのぞく、その白い首元を飾る。
目元にもだいぶかかっている。
鬱陶しそうにかきあげる、指が長い。
横目で鏡をみれば、やたらに尖った耳が綺麗に隠れているのが見えた。
(結構可愛いかもな。)
威嚇のように逆立てた髪も。
それをさらに増長するように飾られた銀のピアスも。
見えなくなってしまえば案外棘はなくなり、元来の細い面立ちだけが残る。
生憎と目元が鋭いが、降りかかる金髪に申し訳程度のぞくくらいだ。
中性的な雰囲気を漂わせ、それでも変わらずえらそうな態度がちょっとだけ滑稽。
だんまりな俺に蛭魔の目元がまたつり上がった。
「ねーのか!?」
たぶん、はなからあるとは思っていないのだろう。
きっと買い忘れた自身に腹を立てているだけ。
ただの八つ当たり。
しかもそこまでわかっていてやっているのだろう。
我がままを演じるのも大変ね、悪魔のふりした道化者。
買ってないよ、と。
目玉焼きを理由に俺は引っ込む。
あいつは自分で決めたものしか使わないだろう。
俺のヘアジェルを横目にきっとまだ鏡の前でため息付いて。
そのうちあきらめてリビングに顔をだすだろう。
目玉焼きの火を消して。
寝室にあるクローゼットをあける。
そこには歯磨きやシャンプー、石鹸に混じって蛭魔愛用のヘアジェル。
ちょっと可愛かったし、渡してやろうか黙っていようかしばし考察。
結局元に戻す。
いつかこのクローゼットを開けたとき、蛭魔はどんな顔をするだろう?
それこそ文字通り、怒髪天を突く勢いで怒り狂う。
まあ、それもいい。
好きなだけ怒って、俺を振り回している気でいればいいさ。
ステンレス様から「髪型」のお礼として頂いてしまいました……v
蛭魔さんを振り回す葉柱さんが素敵ですーーvv
そ、そんな…お礼を頂いてしまうほどの文章ではないのですが…;;こんな素敵なものを頂いてしまえるなら幾らでも書きますよーーv(調子に乗りすぎ…;)
本当に素敵な文章をありがとうございましたv
06,01/23
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