寝坊はするものじゃない

髪型







「くそ…っ!寝過した!!」

本日、休日
数分ならまだ良かったのだが……
とうに数十分は起床時間を回ってしまっている

さらに、悪いことは重なるもので

「狽ーっ、ワックスが切れてる……!!」

遅刻まで、後、数分
これが他の連中なら構わないのだが……
今日の相手はヒル魔
言い訳が通用するはずもなく

「くそ………」

そのまま家を飛び出し、ダークグリーンのフルフェイスメットを被る
ヒル魔用に、シルバーのメットをかごに投げ込んで
急いでエンジンをかける

「間に合えよ………!!」

飛び乗って、フルスピードで
こういうとき、長年連れ添ってきた彼女だと助かる
何時も、文句一つ言わずに俺の都合に合わせてくれる

五分前についた場所には
すでにアイツの姿が

「間に……合ったっ!!」

その場に急停車
メットを外せば顔に掛かる前髪
うっとうしい……

「………。ルイ、か………?」

………何だよ、その顔………

「………おう」
「……髪、どうした?」
「あー…ワックス、切れてて。おまけに寝坊したし」
「………。待てってやるから……あそこで買って来い」

指差した先には、一件のコンビ二

「悪いな…;;」
「良いから。早くしろ」

ルイが消えていった先
その後ろ姿が見える
肩まで伸びた黒髪、白い肌……細い体躯
髪を下ろしたお前は、何処か幼くて
お前は自分の魅力って奴に気付いていないから、本当に、困る

戻ってきたら、俺の前以外では絶対に髪を下ろすなと釘を打っておこう
俺だけが、お前を見ていれば十分なんだよ………

メタルシルバーとホワイトで構成されたバイク
飛び乗るは、黒と白を身にまとったお前
この光景に、見とれない訳が無い

「………」

彼に見とれて、呆けていたのだろうか
止まっていた人ごみが、動き出す

まあ、セイゼイ今のうちに見ておけ
彼は……すでに俺のモノなのだから


06,01/15

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