■ 交錯する10の御題 ■  

01.子守唄


「〜〜〜〜♪」

宵闇に響くお前の声は心地よく
そして、俺を苛立たせる

頬を滑る涙は誰を思う?
その影を落とした表情は誰を考えている?

「〜〜〜〜♪〜〜〜♪」

こっちを見ろよ……

悲しいなら……いっそのこと感情を放棄するか?

悲しい悲しい子守唄
止まるならば……
そのエメラルドの瞳が涙から開放されるなら

君と共に墜ちよう
何処までも


02.深紅にそまった手


お前の細い指は、何時も俺を翻弄する
細く、節くれだって…それでも綺麗な指

俺と、随分違う

何だかムカつくから
唇に触れる指を思いっきり噛んでやった

「痛…ッ!?」

流れ落ちる深紅は、俺の唇とお前の手を染めて
純粋に、綺麗だと思った


03.願いと絶望


願いは、唯一つ
この「男」を、自分のものに

でも、今は違う

この「男」と共に、
「クリスマスボウル」に

二度と……その瞳を絶望に染めたくは無いから


04.赤と紅と緋


「アカは……キライだ」

赤は…俺を翻弄するお前の色

お前は平気で無茶しやがるから
何時か…自分の前で緋を流すのではないかと思うと冷や冷やする

お前は冷静に見えて情熱的だから
その瞳に情熱的な紅を燃やす

赤は……何でもお前に結びつくから

だから、キライだ


05.哀しさと笑顔


「笑顔はキライ?」

ああ…嫌いだな
だって、笑顔ほど不確かなものも無い
次には……哀しさに変る

ああ、でも
お前の笑顔なら……ずっと見ているのも悪くないかもしれないな……


06.制御不能と自由自在


俺のお前に対する感情は制御不能で
でも、お前は余裕綽々

でも、俺は知ってるんだ
お前は……自由自在に見えて……実は俺よりもその感情に戸惑っているんだって

もっと悩め
お前も、俺と同じぐらいに制御不能になっっちまえば……
最高、だろ?


07.夜桜見物


去年は、お前のバイクで一緒にこの木の下に来たっけか?

お前が教えてくれた、狂い咲きの桜

今年は一人で夜桜見物
だが……振られたわけでもない

ほら……何時も通りに改造バイクの爆音が近づいてきた

約束はしてない
だって、イラナイから

考えることは……きっと何時も同じ

去年は二人で夜桜見物
今年も来年もずっと……きっと二人で夜桜見物

この場所で、きっと

二人の、暗黙の了解
それも、悪く、ない


08.無題


この物語に「タイトル」など必要ない
だって…そんなお綺麗なものじゃない

まず交わされるのは…

策略
視線
欲望

それだけ

いかにお互いを落とすか
互いの距離を測るんだ

勝者には……甘い甘い口付けと
相手を自由に出来る権利

結局……最後にやっていることはお綺麗な物語と同じ

でも、型(タイトル)に嵌めたくは無い
だから……ずっとこの行為は

無題で


09.金木犀


10.運命の螺旋階段









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