自作お題1

指先に黒を







「……何、それ?」
「見て分かんねえのかよ。マニキュアだ」
「いや、其れは分かる。俺が言いてぇのは、何で俺の爪に塗るかだよ」
「ケケケ、何でだと思う?」

黒い黒いマニキュアに
お前の青白い指先が染まっていく

さあ、白を黒に
お前を俺に染め上げようか?

黒は俺の色
何時だったか、お前が言ったことだから

だから、この行為は
ちょっとした、牽制だ

お前は、俺のモノだって印
逃がす気は、さらさらねぇから

「………」

無理やり納得させたのか、無言で染まっていく爪を見つめるお前

「………ほら、出来た」

仕上げに、乾いた黒に口付けてやれば
お前は、朱に染まる

我ながら、少々気障だっただろうか?

「………首輪みてぇ………」
「ん?その方が良かったか?」
「………まさか」

そういって、微笑むお前

ああ、敵わないな
お前は、全てを理解した上で俺を受け入れるというのか?

下手をすれば、俺は一生
この、白を象徴したような男の虜になってしまうのではないのだろうか

それでも、構わない

この黒に染まった爪先のように……
この男を染め上げる楽しみができるのだから


06,01/14

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